2017年03月19日

琥珀の夢(254)寝ても覚めても

何かの力が、その人に発見なり、新しいものを見出させるのは、当人が寝ても覚めても、そのことと対峙し続けていたからだろう。

信治郎は作業場の扉に錠をかけさせて丸二日こもった。奉公人が心配して釣鐘町の喜蔵のところに相談に行った。


信治郎にはいつものことだ、と思いながら喜蔵は、しかし商談に来ている問屋を放ってはおけないと言って、明日にでも信治郎に話してみると言った。

喜蔵が翌朝家を出て、信治郎の裏木戸から入ると、「築港に行って朝飯までに帰る」と貼り紙があり、信治郎はいなかった。


喜蔵が築港に着くと、旧桟橋の突端に信治郎は立っていた。「信はん、おはようさん」喜蔵が声をかけると、振り向いた信治郎の目からは大粒の涙があふれていた。



posted by 琥珀色 at 11:23| 琥珀の夢 登場人物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年03月11日

琥珀の夢(247)看板

寿屋洋酒店の看板は今も数点残っている。
それは今でも十分通用する素材とデザインだ。

「大将、このくらいでかんにんしたってもらえまへんか」

木工屋の職人は本当に泣きそうだったと、後に語っている。


それほど信治郎の第一号の看板へのこだわりはすさまじかった。
しかしそのおかげで、職人にはあれと同じ看板をという注文が一気に増えた。


もっとも、信治郎が費やした資材、染料、手間賃を聞いて皆あきらめたそうだが。


posted by 琥珀色 at 09:49| 日本経済新聞 琥珀の夢 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2017年01月08日

琥珀の夢(186)

三池丸が横浜港の桟橋に近づくと、イギリス公使を迎える軍楽隊が勇壮な音楽で迎えた。

進次郎は馬車で日本大通りにあるホテルに入り、すぐに日本大通りをあるき出した。

「何や、この道幅のおおけさは・・・」


信治郎は道幅や英米領事館などの周りの建物に驚いた。

そして、洋酒を扱う店に入って行った。

posted by 琥珀色 at 13:46| 琥珀の夢 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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