2017年05月06日

琥珀の夢(302)トリスウヰスキー

「トリスウィスキー」という名前は「サントリー」の社名より先にできたという話。
(なつかしい「アンクルトリス」↓)




信治郎が新しいウィスキーの名前を考えていると、クニと吉太郎が帰ってきた。並んでいる「赤玉」「向獅子」「ヘルメス」を指差して、吉太郎が「トリイ、トリイ」と何度も繰り返した。

吉太郎がいなくなった後も、信治郎の耳に「トリイ」という声が響いた。
「そや!それがええかもしれん!」


信治郎はすぐに神戸のセレース商会の社長夫人に電話した。
「実は、鳥井の商品を格好良う言うにはどう言うたら・・・」

セレース夫人が提案したのは「TORY'S」だった。


信治郎は戻って「トリースウイスキー」「トリースウイスキー」と繰り返すうち、なんだか間延びした感じがして、早口で読んでみた。

「トリスウイスキー。そや、これでええ」
この瞬間、信治郎は後年爆発的な売上となる「トリスウヰスキー」の名前を手に入れた。




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2017年04月23日

琥珀の夢(289)工場

「赤玉」の出荷が増え始め、製造が店だけでは追いつかなくなっていた。しかし他所の工場を借りた葡萄酒造りでは、「赤玉」の品質管理が信治郎は心配だった。

ところが、新しい工場を建てるには肝心の資金がなかった。番頭格の栄助も信治郎の心中を測りかねていた。


しかし信治郎は決断した。「一年、いや半年でこさえようやないか」
信治郎は今が勝負時だと思っていた。

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2017年03月26日

琥珀の夢(262)クニ

「ところで大阪からの荷は届いてますやろか」
信治郎は主人への土産を別に送らせていた。

裏にあると言われが信治郎が荷を解きに立ち上がると、主人はクニという若い女性に手伝うように言った。


裏手に行くと、羽織が汚れるから自分がするというクニを制して、信治郎は自分で荷を開け、中から「赤玉」を取り出した。

「船に酔わなんだか」
と包装紙を優しくなでる信治郎を見て、クニがクスッと笑った。


自分の赤ちゃんみたいに話しかけて、というクニに信治郎は当然のように
「ほんまに、こら、わての子供なんですわ」
と答えて赤玉をクニに差し出した。

「名前が『赤玉』言うんですわ」
それを聞いたクニに「可愛い名前ですね」と言われて、信治郎は嬉しくなった。


(現在は「赤玉スイートワイン」という名前で販売されています。)
    ↓






posted by 琥珀色 at 22:48| 琥珀の夢 登場人物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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