2016年08月19日

琥珀の夢(49)夜鍋

小西屋で奉公を始めて1ヶ月ほど過ぎて、信治郎は番頭の伊助に呼ばれ、その晩の儀助の夜鍋を手伝うように言われた。

手伝いの段取りは弥七に聞くように言われたが、弥七は何も教えてくれなかった。常吉に訪ねると、旦那の言うとおりにしていればいいとの事だった。


儀助は夜の9時に仕事場に現れた。手にしていた鍵で大きな錠前を開け、中に入った。信治郎は昨夜自分が磨いたランプに火をつけた。

今夜は少し薬を刻むので、まず桶の水をフラスコに入れて湯を沸かせと命じられた。「へぇーい」信治郎がいつものとおり返事をした。


「そない大きな声を出したらあかん」薬草はくしゃみ1つで散り散りになる、と儀助は信治郎を注意し、手袋を渡した。ふだんの仕事で使う軍手と違う上等な手袋だった。

儀助は薬草の束を出し、机の上に並べた。急に部屋のの中に特異な香りが漂った。「これは麝香や・・・ジャコウジカの雄の・・・」儀助が話しだした。

(ひとこと)
主人と初めての、大事な薬を扱う仕事。それも一対一ですが信治郎に臆するところはありませんね。



posted by 琥珀色 at 07:11| 琥珀の夢 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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