2016年11月09日

琥珀の夢(129)

儀助は「蜂印香竄葡萄酒」を一口飲んでしばらく目を閉じていたが、風呂へ行くと言って立ち上がり、「お前も飲んでみい」と言って部屋を出た。

信治郎は問屋の主人の無礼な態度にまだ腹をたてたまま、葡萄酒を茶碗に注いだ。一口飲んだ信治郎は目を開いた。


二口、三口と、儀助に教えられたとおり葡萄酒を口に含んで口の中に葡萄酒が広がるようにした。

「これや、この味や」信治郎は大きくため息をついて声を上げた。「この味を探しとったんや」



posted by 琥珀色 at 09:09| 琥珀の夢 あらすじ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月05日

琥珀の夢(125)

儀助と信治郎は店に入った。「大阪の小西儀助が来たと伝えてくれるか」儀助に言われた丁稚が下がると、しばらくして洋装の男が現れた。

「さあどうぞ、奥へ奥へ」と言われたがその場に立っていた信治郎を、儀助が一緒に来るように促した。


奥にはずらりと商品が並んだ棚に囲まれた楕円形の机の上に、さまざまな形のガラスの瓶とグラスが並んでいた。

すぐに銀製の盆を手にした女性が現れ、どうぞ一杯と言って「電気ブラン」を2人に勧めた。その瓶は今までに見たことのない形をしていた。

それは、やり手と言われる神谷傳兵衛が売り出して、東京で大人気になった酒だった。 


posted by 琥珀色 at 16:54| 琥珀の夢 登場人物 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2016年11月04日

琥珀の夢(124)

信治郎は、東京の問屋の店半分が畳敷きではなく、机をはさんで客と対応しているのに驚いた。また電話が何台も四六時中鳴り響いているのも小西屋とは大違いだった。

儀助が出てきた。店の主人から勧められた日本銀行のほぼ完成した建物を、信治郎は儀助と一緒に見た。大阪の日銀の何倍もの大きさだった。


清國から多額の賠償金を取ってさぞお金があるのだろう、と儀助は言い、2人は次の問屋に向かった。

大伝馬町に入ると、その店には大きな看板が掲げられていた。看板には葡萄酒の瓶が描かれていた。



posted by 琥珀色 at 09:20| 琥珀の夢 舞台 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。